開店は7月1日であるが、準備期間も必要なことから、採用を6月16日とし、小林と高橋がその日から勤務することになった。
それにともない、彼女たちが住む寮の整備をしたり、必要な什器や物品の手配等、やることが具体的になりより忙しさが増した。
寮はアパートを借り上げ、彼女たちが身一つで来ても生活できるように、家電や調理器具など、生活に必要なものはすべて揃えた。ついでに、私も管理のために毎週通うことになることから、私の部屋も用意した。どの部屋も同じ作りのため、私の部屋を一番奥にし、入寮の順に奥から部屋を埋めていくことにした。
準備期間中にもそれぞれと連絡を取り、まずは小林と高橋の入寮の日取りを決めたところ、先に小林が入ることになり、私の部屋の隣が小林となった。もちろん偶然であり、狙ったわけではない。高橋は九州から来るため、ギリギリになるとのことであった。
小林は少し早めに入寮して周辺を見て回りたいとのことだったので、それを許可し、寮の鍵を渡すこととなった。小林の自宅近くの住宅街にある公園で待ち合わせをした。約束の時間に公園に着くと、聞いていた特徴と同じ車はあるものの、彼女の姿がない。少し早く着いていたので時間まで待つか、と思い待っていたものの、時間になっても彼女は現れない。
しかたがないので電話をすると、
「すみません!夕日を見てました!すぐ行きます!」
と慌てた様子。
現れた彼女は、やはり私が会ったことのない、都会風に洗練されたファッションに身を包んだ素敵な女性で、年甲斐もなくまたドキッとした。彼女は本当に美しかった。
鍵を渡し、事務的連絡を終えた私はそそくさと車に乗り込み、その場を去った。彼女を見ているだけで緊張するので、二人でいることに耐えられなかったのだ。
私は勤務初日が楽しみと同時に、不審な態度になってしまわないか心配になっていた。完全に彼女に心惹かれていたのだ。