次の日、私は横浜に帰った。次に熱海に来たのは5日後であった。
売上は相変わらず少ないものの、私が横浜に戻ってからも二人でお店を回してくれていた。ただ売上が0の日も多く、二人ともかなり心配していたようで、熱海に戻るなり、
「売上が全然ないんですけど大丈夫ですか?」
と、どちらともなく聞いてきた。
もうすぐGoToトラベルが始まることがわかっていたので、
「もうすぐGoToトラベル始まるし大丈夫じゃない?」
と、軽く答えた。
あとから聞いた話では、この時点での二人の心配はかなりのものだったようで、私のこの「大丈夫じゃない?」という答えで二人ともとても安心したとのことだった。
私は3日間熱海に滞在し、その間、高橋が休みの日もあり小林と店舗で二人きりになった日もあったが、特に何事も起こらず、また横浜に帰った。
そして次に熱海に戻ったのが7月14日だった。この日は高橋が休みで、小林と二人勤務であった。
この日までに何件かの施術を行った結果として、小林から相談が持ちかけられた。
「部長、私どうしても指圧系のマッサージが好きになれないんです。やっぱりオイルマッサージの気持ちよさが好きで、指圧のようにぐーっと押されるのが好きじゃないし、押すのも好きじゃないんです。どうしたらいいですか?」
なかなかディープな相談であった。
このお店に勤務する以上、このメニューはやりたくない、ということはできない。小林を特別扱いするわけにもいかない。
どうしたものか、と考えていたとき、実はマッサージの研修も含め、小林にちゃんと施術したことがなかったことに気がついた。研修では部位ごとに教えていたので途切れ途切れになっており、ちゃんと気持ちいい施術をしてあげたことがなかったのである。
また私の心の中にダメな考えが浮かんできた。私はマッサージの施術には自信があるため、ちゃんと受けてもらえば好きになってもらえると思った。マッサージを好きになってもらうため、私の本気の施術を受けてもらえばいいのでは?そうすることでセクハラを気にせずに堂々と小林に触れることができる。こんな考えが浮かんでくる自分が嫌だったが、もう言葉が出ていた。
「じゃ俺の本気のマッサージ受けてみる?もう嫌いって言わせないから。」
「そうですね。私も嫌いと思ったまま仕事するのも嫌なので、お願いしていいですか?好きにさせてください。」
この会話の最後だけ見ると青春映画に出てきそうな恥ずかしいセリフである。
また、彼女からリクエストもあった。
「久しぶりにこの仕事をしたら最近腰が痛くなってきちゃったので、腰のあたりを特におねがいしていいですか?」
もちろん、と答え、施術に入った。
腰が痛いときはお尻にある筋肉をほぐすといいと言われているので、お尻を施術してもいいか確認した。お願いしますとの回答だったので、心のなかでガッツポーツをしていた。ほんとにスケベなオヤジである。
とはいえ、施術は本気で行った。リクエストのあった腰のあたりは特にしっかりほぐした。1時間ほどかけて丁寧にしっかりと彼女の筋肉をほぐしていった。
施術が終わり、どうだった?と聞くと、施術自体はとても気持ちが良く、こういう施術ができるようになれればもっとマッサージが好きになれそう、とのことだった。
ここまではとりあえず目的を達成できたかな?と思った瞬間、彼女が腰を伸ばしながらとんでもない発言をした。私が何も返答できなくなるような、想像だにしなかった発言である。
「部長、腰が痛いのって最近セックスしてないせいですかね?」
・・・何を言ってるんだこの子は?
完全に耳を疑った。彼女を清楚な人だとか清純派とか思っていたわけではないが、あまりにも明後日の方向から飛び道具が飛んできたような感じだった。一瞬思考回路が止まり、聞き間違いじゃないか、自分の中で思い返していた。と、そのとき、自分の口から思いがけない一言が出ていた。
「どれくらいしてないの?」
違う違う!そうじゃない!何を言ってるんだ俺は!バカか!セクハラって言われても反論できないぞ!と一人焦っていたら、
「3年くらいですかねー。」
とあっさり答えてきた。
待て待て待て。なんという会話をしてるんだ。もうこの空気に耐えられなかった私は、
「っていうかそんなこと言うなよ。びっくりするでしょ。」
と冷静なふりしてたしなめた。ところが彼女は
「別にいいじゃないですか。どうせみんなやってることだし。」
「いや、それはそうだけど・・・。」
と、もう口に出せる言葉が思い当たらず、その会話は終了した。
もう頭の中はパニックである。何だった今の会話は?別に誘ってるわけではないよな?こんな美人が俺のこと誘うわけないし、ただそういうあけっぴろげな性格なだけだよな?でも美人だからいい男といろんなことしてきたんだろうな、などといろんな想像や妄想がかけめぐり、それから閉店までの時間はほとんど覚えていない。
彼女から閉店時間ですよ、と伝えられ、一旦変な思考を停止させ、脳を通常運転に戻した。
その日は寮に泊まる予定だったので、彼女と一緒に帰ることになった。
仕事の話が中心で、コロナによりなかなか売上が上がらない現在の状況に対する彼女の不安だったり、これからのお店のことなど、ごくごくありふれた普通の会話をしながら帰っていた。
施術の話になり、今日の私の本気施術についてどうだったか聞いたところ、気持ちいいのは間違いがないが、彼女はやっぱりオイルマッサージが好きだと。ただマッサージも頑張りますということで、とりあえず私の役目は果たせたと思った。
その時、彼女から新たな質問が飛び出した。
「部長はオイルマッサージはしないんですか?」
私は男だし、そもそも需要がない。私もオイルマッサージを受けるとしても男性にはやってもらいたくない。
「やらないよー。需要ないしね。女性だって男性スタッフが出てきたら嫌でしょ。」
「えー、そうかなぁ?男性でも上手だったら良くないです?海外だと男性スタッフも普通にいましたよ。」
「海外だと日本よりは男性スタッフがいるお店も多いっては聞いたことあるけど、ここは日本だしね。できるようになっても活かせないなら意味ないしね。」
「でも部長ならぜったい上手だと思うなぁ。あれだけマッサージが上手なら絶対すぐ上手になりますよ!今度オイルやってくださいよ!」
・・・何を言ってるんだ?この子は。
やったこともないオイルをやってくれだなんて。オイルをやるってことはほぼ全裸になってもらわなければならないし、上司がスタッフにできるわけないでしょ。
「やるわけないじゃん。できもしないのに。それに一歩間違えばドセクハラじゃん。」
「私がやってって言ったらセクハラにならないでしょ。ほんとに今度やってくださいよ。」
「だからやったこともないからできないってば。」
「じゃ私で練習すればいいじゃないですか。絶対上手になりますから。」
「いやいやそういうことじゃなくてさ・・・。」
もうどう対応したらいいかわからない。AVだったらぜったい誘惑されてる展開だけど、現実世界だし、美人だし、もうわけがわからない。
できないよー的な回答を繰り返していると、寮に着いたのでお疲れーとだけ言って部屋に入った。
シャワーを浴びてさて寝るか、と思っていたら、LINEにメッセージが届いた。
部長、今窓から顔出せますか?
今度は何だ?と思いながら窓から顔を出してみた。
「お疲れさまです。今大丈夫ですか?」
「もう寝るだけだから大丈夫だよ。どうした?」
「部長に揉んでもらったからすごく腰が軽くて感動しちゃったからお礼が言いたくて。」
彼女もお風呂上がりのようで髪が濡れていた。部屋の明かりに薄く照らされた顔もやっぱり美しかった。以前にもあったこのシチュエーションはドキドキするし、嬉しかった。
「いやいや楽になったらよかったです。わざわざありがとう。」
「部長、明日もお店でしょ?」
「そうだね。」
「明日、私は休みなんです。実家に帰ろうかどこか温泉にでも泊まりに行こうか考え中なんですけどね。」
「泊まりに行くったって予約してないの?」
「コロナなので空いてるみたいですよ。」
「そっか、一人でのんびりするのもいいんじゃない?」
「ね、部長、やっぱりオイルマッサージやるべきですよ!」
「またその話?だから無理だってば。できないしなによりやるこっちが恥ずかしいよ!」
「恥ずかしかることないですって。変なマッサージじゃないじゃないですか。変に意識するほうが変ですよー。」
「いやそうかも知れないけど・・・。」
「でしょ?じゃ約束してください、練習するって。」
「なんで???するなんていってないでしょ。練習相手になってくれる人だっていないって。」
「私で練習すればいいじゃないですか?」
・・・何を言ってるんだ?この子は。
こう思うのは今日3回目だ。美人なのは間違いないけど、発言がいちいちびっくりさせられる。誘ってるのかと思うしかないような発言だけどそんな訳はないし、本当に返答に困ることを言ってくる。
「いやいや無理でしょ。お店だと突然の来客あるかもしれないし。練習しようと思ってもできる環境がないでしょ。」
「あ、練習してもいいかな?って気になってきました?」
「いやそういうわけじゃなくてさ。」
「部長、これから私がそっちに行くんで練習しませんか?」
・・・何を言ってるんだ?この子はpart4。
人生でこんなに返答に困ったことはない。独身の美人女性スタッフが既婚男性の宿泊している部屋に一人で訪れて服を脱いでオイルマッサージの練習台になるなんて、男性にとっては夢のシチュエーションだけど、バレたら間違いなく会社をクビになるし、家庭崩壊だし、いいよなんていったら人生が終わることが目に見えていた。ましてやハニートラップだった日には目も当てられない。
「いいですか?」
「いやいや、いいなんて言えるわけないでしょ。まずいって。」
「何意識してるんですか?真面目な練習ですよー。」
「いやそうだとしても部屋はまずいって。」
「もしそっちに行ったら部長、私を襲うんですか?」
「そんなことするわけ無いでしょ!」
「じゃいいじゃないですか!いいですよね?行きますよ?オイルも私自分のを持ってるし、ちゃんと練習できますから。」
押しが強い・・・。なんなんだ・・・。世の男性陣はこの状況をどうかわすんだろう?心の一方では邪な期待感も無きにしもあらずだけど不利益の方が絶対に大きいのでとにかく理性を保つしかなかった。とはいえあまりにも押しが強く、ダメと言い切ることができなかった。
「えー、じゃ絶対に誰にも見られないように来てよ。問題になるから。」
「わかりました。ありがとうございます!すぐ行きますね!」
もうこのときは理性を保ってさっさと練習だけして終わらせるつもりだった。そうしないとこの攻撃が止みそうになかったので。
数分後、彼女からLINEが届いた。
これから行きますので、鍵開けててください。インターホン鳴らしたら音でバレるかもしれないので。
なんだこのドキドキ感は。やり取りだけ見たら完全に人目を忍んで逢瀬を楽しむ不倫カップルじゃないか。もしこのやり取りが公になったら一発アウトである。
とはいえ、いいよと言ってしまった手前、鍵を開けて待っていた。
そーっとドアが開いた。とびっきりの笑顔の彼女が中に入ってきた。
「ちゃんと誰もいないの確認してから来ましたよ。なんか悪いことしてるみたいでドキドキしますね。」
私の方が100倍ドキドキしてるがな・・・。
彼女は甚兵衛のような上着に、同じ素材の短パンという服装で来た。
「マッサージしてもらうのでもう寝間着で来ちゃいました。」
この子は男心をくすぐる術を熟知してるなと思うほど、やることなすことすべてでドキドキさせられる。
なんて話をしていいかもわからないほど緊張していたが、彼女が座っていいですか?と言って返事も待たずに私の布団に座った。彼女たちの部屋にはパイプベッドを用意していたが、私の部屋には大した家具は置かず、いわゆるせんべい布団が敷いてあるだけだった。
「緊張してます?」
「そりゃするよ。もう何をどうしたらいいかわからん!」
と言って、彼女の方を見た。
布団に座ってる彼女の甚兵衛のような寝間着の隙間から、彼女の小ぶりな胸が見えた。ピンク色のきれいな先っぽまで。
心臓のバクバクが止まらなくなった。理性を保てる自信がなくなっていった。でも保たなければならないという現実が苦しかった。普通に座ってるだけなので、わざと見せているわけではなさそうだが、ラッキーなのか苦しいのかわからなくなっていた。
「これ私が自分でいつも使ってるオイルです。これ使ってください。」
彼女はラベンダーのマッサージオイルをお風呂上がりなどに使ってるらしい。
「じゃ、始めましょうか?」
「始めるったって何をどうしたらいいかわかんないよ。」
「じゃ、まず私がうつ伏せになりますから、足だけお願いできますか?足だけならこのままの服でできますから問題なくないですか?」
問題なくはないでしょ、と思いながら、足くらいなら、と思い、これまでスタッフにやってもらったのを思い出しながら、とりあえず始めることにした。
足の裏からふくらはぎ、太ももと、痛くない程度の強さでやってみた。彼女の足はとても白く、脱毛済みでとてもなめらかだった。しかしそんなことを堪能する余裕はなく、必死に進めていった。右足が終わったとき、
「部長、やっぱり上手じゃないですか!今度左足もお願いします!」
といって、左足も同じようにマッサージし、何事もなく左足も終了した。
「終わったよ。もうやっぱりわからん!もういいんじゃない?」
私はとにかく早くこの状況を終わらせたかったので、左足で終わらせるつもりでそう彼女に言った。
「部長、やっぱり上手ですよ!背中もやって欲しい。やってみませんか?」
もう断る方法が分からなかった。渋々やってみることにした。
彼女は後ろ向いててください、と私に言い、上着を脱いで上半身裸でうつ伏せになった。彼女の胸が自分の布団についているというだけで胸の鼓動が高鳴る。そのうえこれから背中をマッサージする。もう訳がわからなかった。
とはいえ何かイケナイことをできる立場でもないので、真面目に一生懸命マッサージした。彼女の腰から始め、背中や肩、首までをマッサージした。うつ伏せになった彼女の胸の部分には小さな膨らみがはみ出ていた。それが目に入るとさらに鼓動が早くなった。
なんとかマッサージを終え、
「はい、終了。もうやるところないから終わりでいいね?」
「部長、すっごく気持ちよかった。やっぱり上手だったんですね。本当に初めてなんですか?ちょっと後ろ向いててください。」
そういうと彼女は上着を羽織った。ただ袖に腕を通していなかった。
「そりゃ初めてでしょ。もうこんなことやることもないと思うよ。なんでやらせたー?」
「部長にやってもらったら気持ちいいだろうなと思って。やっぱり気持ちよかったです。」
「それは良かったけど、もう勘弁してくれ。」
「えー、じゃもうちょっとだけお願いします!」
「もうちょっとってどこやるのさ?もうできそうなところないよ。」
「デコルテ(鎖骨)やって欲しいです。なんか最近この辺が苦しくて。」
そう言って彼女は自分の鎖骨の下を擦った。
「いやそれは無理だよ。どうやったらいいかわかんないし。」
「大丈夫、教えますからそのとおりやってください。部長、こっち来て座ってください。」
そういうと彼女は枕元に私を座らせ、彼女は私を見上げるように私の股の間に頭を置き、仰向けになった。上着を少し下ろして鎖骨部分を露出させて。
「で、どうしたらいいの?」
「ここの鎖骨の下を、外側に流すようにマッサージしてください。」
私は言われるがまま、両手で鎖骨に沿って肩くらいまでをマッサージした。
とはいっても範囲が狭いのですぐ終わった。
「終わったよ。もう終わりでいいんじゃない?」
「やっぱり部長の手ってすごく気持ちいいですよね。温かいというか、優しい感じ。」
「ありがと。それはいいからほれ、起きて。」
しかし彼女は動かなかった。同じ体勢のまま、少し顔を赤らめて私を見上げるように言った。
「部長、見たいですか?」
何を言ってるんだ?この子は。
もうこう思うのも5回目だ。いちいち想像を超えてくる。
いやいやそういうことじゃない。見たいですか?そりゃ見たいけど見たいなんて言えるわけがない。
「見たいって何を?」
「そういうオトボケはいいですから、見たいですか?」
「・・・見たいって言えるわけないでしょ。妻子ある身だし、上司だし、見たいなんて言ったら問題ありすぎでしょ。もうほんとそういうの勘弁してよ。」
「何も問題がなかったら見たいですか?」
「問題あるって・・・。」
「私が何も言わなきゃ誰もわからないですよ。」
「いやいやそういうことじゃなくてさ・・・。」
もうどうしていいかわからない。頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「部長、お願いしてもいいですか?」
そう言うと彼女は私の返事も待たずに上着をお腹まで下げた。さっき見えたのと同じ、小ぶりできれいな形の胸があらわになった。
「ちょ、ちょっと何してんの!」
「胸もマッサージしてください。」
「ちょっと待ってよ・・・。まずいって。」
「大丈夫です。これはマッサージですから。変なこと考えなければいいんですよ。」
無理でしょ。変なことしか考えられないよ。
こんな美人の胸を拝むことができてラッキーだし、しかもこれから触れてくれと言う。もう完全にAVの展開だし、理性を保つ自信がない。もちろん私の股間ははち切れんばかりになっている。でも彼女にここまでさせておいて無理と言って帰すのも男としてどうなのかとも思った。
「もっと大きいと思ってました?」
彼女が聞いてきた。実は研修中、開いた胸元から少しだけ見えたことがあったので、大きいとは思ってなかった。
「そんなこと意識しか事なかったよ。えー、どうマッサージしていいかわかんないよ。」
ごまかした。
「部長がしたいようにしていいですよ。」
こんな男なら誰でも憧れたようなシチュエーションある?現実に目の前で起こっていることだが、信じられなかった。罠だったら完全にアウトである。
「先っちょは触んないほうがいいでしょ?」
「部長が触りたいならどうぞ。」
幸せすぎる。こんな過去に会ったことがないような美人にこんな妄想でしかありえなかった展開にもっていかれるなんて。もう意を決して私ができることをやってあげようと思った。
もうマッサージというより、性感マッサージのような感じだ。性感マッサージ自体もよくは知らないが、AVでは見たことがあった。見様見真似でやってみることにした。
まず私は胸骨に沿って両手を滑らせ、胸の膨らみの外周を優しく撫でた。
それを何回か繰り返した後、徐々に乳首に近づくように同じ動きを繰り返した。
いよいよ乳首に近づいてきたとき、乳首に触れるか触れないかくらいの距離で乳輪を撫でた。何回も。そして乳首から離れるようにまた乳房を撫で回した。ときに両手で胸を寄せるように優しく撫でたり、指でリズムを刻むようにトントンしたり、とにかく必死でいろんなことをやってみた。
彼女も気持ちがいいのか、ときどき「あっ」とか「ん~」とか声が漏れる。
「変な声出さないの!」
と言いつつ、私も調子に乗ってきて、また外から内側へ撫でていき、今度はたまに乳首に触れる程度に乳輪を優しく撫でた。乳首に触れるたび、彼女の喘ぎ声が大きくなっていった。
そうして十分に焦らした後、一気に乳首を攻めた。乳首をつまんだり、回したり、手のひらで転がしたり、持てる知識を総動員して攻めた。
彼女の喘ぎ声が一気に大きくなり、他の部屋に聞こえてしまわないか心配するほどであった。彼女の顔が私のいきり立つモノの近くにあり、彼女の手がそれに近づいてきていた。私のものを触ろうかどうか迷っているようにも見えた。そんな状況がさらに私を興奮させた。もう私のガマン汁もすごいことになっていた。
ただ私の偉いところは、そんな状況でも理性は失ってなかった。攻めて攻めて攻めきった頃、胸全体を手のひらで覆うように優しく揉んで、
「はい、終了~。」
といって終わらせた。このままだとどうなってしまうかわからなかったからだ。やはりこの先に進むのは良くないと思った。
彼女は少しの間、余韻に浸るように恍惚な表情を浮かべていた。
「部長、上手です!」
彼女は私の股の間から見上げてそう言った。
「知らないよ~。もう必死だよ。どう触ったらいいかわかんないし、テクに自身があるわけでもないし、こんなこと今までやったことないよ。」
「それにしてはすっごく上手ですよ。めっちゃ気持ちよかったです。」
そう言うと彼女は起き上がって上着を羽織った。
ようやく終わった、と安堵したのも束の間、彼女がまた私を困らせた。
「部長、この後どうしたいですか?」
・・・嘘でしょ?
絶対だめなやつじゃん!
頭の片隅にはこう言われたらどうしようというのはあったけど、ほんとにでてきた。こんな夢のようなシチュエーション、独身時代に起こってたら間違いなく先に進んでいた。
私は困った顔で彼女の方を見た。彼女の少し恥じらいながらも期待してるような、でもどことなく彼女も迷っているのかな、と思わせるような表情をしていた。それがまたとても美しく可愛かった。
「どうもこうも、もう寝る時間だよ。」
もう午前2時を過ぎていた。私はとぼけた。もうどう言っていいかわからなかった。
「そういうのはいいですから、部長の気持ちが知りたいです。どうしたいですか?」
「だから、何回も言うけど俺は妻子もいるし、上司だし、どうしたいとか絶対に言っちゃダメな立場なんだよ。わかってよ。」
「立場抜きで考えたらどうしたいですか?部長個人としては。」
「いや、だから、んー、小林さんはとても魅力的な女性だし、正直これまで会った女性の中でとびきり綺麗だよ。さっきの胸のマッサージだってもうずっとドキドキしてたよ。独り身だったらそのまま襲ってたかもしれない。でもね、やっぱりだめだよ。こういうのは。今日はオイルマッサージの練習ってことにできるけど、この先に進んじゃったらいろいろ問題が大きすぎるよ。ま、胸をマッサージしている事自体もうやばいけどね。」
私はこの先に進んではいけない常識的な理由を彼女に説明した。妻や子どもを裏切れないこと、バレたときの家族崩壊、慰謝料や養育費などの経済的損失など、あらゆる理由を彼女に伝えた。彼女は時々反論しながらも、ずっと聞いてくれた。この話は1時間位続いた。
「わかりました。部長のそういうところ尊敬します。やっぱりこういうのダメですよね。今日は帰ります。」
「わかってくれてありがとう。明日休みでしょ?ゆっくり休んで。」
もう4時近かった。外も明るくなりかけていた。
「明日と明後日が休みだから、やっぱり明日は温泉にでも泊まりに行ってきます。」
「そっか。運転気をつけてね。」
「ありがとうございます。今日はありがとうございました。とっても気持ちよかったです。」
彼女は飛び切りの笑顔でそう言って私の部屋をあとにした。
しばらくこれまでのことが現実だったのかを確認するように思い出しながら、行き場のなかった自分の分身たちを外に放出し、布団に入った。